イベントレポート
EVENT REPORT

 
 
中小ビル再生レクチャーvol.1
「旧耐震物件の構造初期検討について」
@Inc-line Tokyo
 

リノベーションにおいて耐震改修の見立てが大切になってくるケースは多いとおもいます。
しかし、旧耐震物件の構造初期検討ってどうやって進めればいいか、だれに頼めば円滑に進められるか、
わからない方も多いとおもいます。
そこで、Inc-lineメンバーでリノベーションの構造のプロフェッショナルである北嶋さんをお呼びし、
耐震改修の勉強会を行いました。
 
 

 
 
中小ビルの再生には構造検討が肝
 
 
北嶋: Beach side Studioという会社で設計事務所をやっています。よろしくお願いします。
構造ベースの会社です。もともとは構造事務所に20数年いました。
構造だけではなく、意匠デザインも手がけたく施行まで手を伸ばしております。
 
 
内山:今、既存建物の活用が注目されています。それは、大規模なビル開発の影で、中小ビルが余ってきているからです。ただしリノベーションの方が建築にかかる費用が安いため、店舗部分などのテナント賃料を高く設定する必要がないので、儲け一辺倒でテナントを入れる必要がなくなるのでビル単体の利益を追求したものではなく、中長期でエリアを盛り上げていくことにコミットしたおもしろい企画もやりやすくなります。
また、都心部では新築することでバリューが大幅に上がるところもありますが、地方ではそれはありえないので、地方ほどリノベーションの手法が活かされるとおもっています。
また、簡単に古い建物を壊してしまうが、古いものがもつ魅力は二度と新築で作れません。
あるものを活かす、そのためのテクニックを磨くことが重要だと思います。
そういう意味で構造検討はそのテクニックのうちの重要な要素です。



 
 
旧耐震は物件購入前で建物には入れなくても図面があれば構造検討ができる
 
 
北嶋:1987年(昭和56年)6月1日より後であれば新耐震なので耐震診断をしなくても、構造的には大丈夫な場合が多いです。一方、1987年(昭和56年)6月1日より前の旧耐震物件の場合は基本的には耐震診断しないといけないですね。
我々の特徴は、旧耐震でも鉄筋コンクリート造で図面があった場合、一旦、柱と壁などの鉛直部材の平面寸法だけで簡易な一次診断をすることです。約束できない内容ではありますが、耐震補強の案と補強の費用の概算を予測することができます。とにかく、計算してみるってことですね。
 
なお、図面がない場合については、検査会社に頼んでまず図面を復元しないといけません。
ただこれがむずかしい。購入前は物件に入りにくい状況であったり、実測に費用が生じたりしますから。
従って、図面があるかないかで構造検討の難易度が大きく変わることになります。
 
 
旧耐震でも構造検討がいらない建物もある
 
 
北嶋:基本的には1次の簡易な診断で済む建物があります。
例えば、壁式鉄筋コンクリートの建物や柱が多い建物で低層建物などは、もとより充分な強度をもっており、明らかに大丈夫である場合もあります。もちろん新耐震の建物は耐震診断を必要としないとも言えます。(確認申請検査済みがある場合)
 
 
構造安定性が高い形状とは?
 
 
北嶋:例えば、平面形状が整形に近く、壁の配置が平面的にバランスの良いものの方が構造の安全性は高いです。建物の平面的な重量の中心「重心」と、平面的な建物剛性の中心「剛芯」のずれが少ないからです。
イメージは、ハンマー投げを想像してもらうとわかりやすいです。この際、重心がボール、剛芯が体ということでしょうか、体とボールが離れていた方が大きなエネルギーがかかり、遠くにボールが飛ぶのと同じです。遠く飛ぶということは大きな力が建物に入るということですね。
 
 
 

 
 
リノベーションの構造のプロを知っているかどうかが大切
 
 
内山:今日Inc-lineに来ていただいている方は、みなさんそれぞれのスペシャリストとしての力をもっておられるとおもいますが、このリノベーションの構造の部分ができる人は意外と少ないです。
ただ、やってみると、意外と苦労は多くありません。
旧耐震の回収は、それほど難しいことではないということを知っていれば、あとは北嶋さんのようなプロに任せるといい。決して自分で判断する必要はありません。
 
 

 

 
 
当日はデザインや施工などの建築関係のみならず、まちづくりや、オーナーの方など、幅広い領域の方にお集まりいただきました。
Inc-lineのメンバーシップ会員のメリットの1つはこのような突出したスキルをもつメンバー同士で互いの足りない部分を補い会えることです。今後もこのようなイベントを通じ、会社や個人を超えた有機的なつながりを広げてゆきます。
※紹介した記事は、レクチャー内容を抜粋したものです。
 
 
 
□登壇者情報
 
北嶋健樹
Kitajima Tateki
約20年に渡り構造事務所に在籍、在籍時に大手ゼネコンに出向、アミューズメントパーク、海外プラント、空港、などの構造にも携わる。 2008年に独立、一級建築士事務所 SEA Design代表就任、リーマンショックのあおりを受けるものの、切り抜け、 2010年  TABLOID の初期構造検討に参加、完成まで構造コンサルという形で携わる。 2012年に再独立  Beach side Studio株式会社一級建築士事務所立上げ、代表就任。構造の仕事を背骨にして様々な仕事に、手を出したいと建設業も同時に開業。耐震診断は現在も多く行っている。

内山 博文[モデレーター]
Hirofumi Uchiyama
愛知県出身。リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)、都市デザインシステム(現 UDS株式会社)を経て、 2005年にリノベーション事業を展開する株式会社リビタの代表取締役、 2009年に同社常務取締役兼事業統括本部長に就任。多数のビジネスモデルを構築し、リノベーションのリーディングカンパニーへと成長させる。 2009年に一般社団法人リノベーション住宅推進協議会副会長、 2013年に同協議会会長に就任(現在)、既存住宅市場の拡大に向けた仕組みづくりを推進。国交省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」委員も務める。
2016年に u.company株式会社を設立し独立、企業やリノベーションのコンサルティング事業を主に手掛ける。同年 Japan.asset management株式会社( Jam)代表取締役就任。